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石山 アンジュ 著「シェアライフ 新しい社会の新しい生き方」
出版:2019年2月26日
要約・所感
今、UberやAirbnb、メルカリといったものを始めとしたシェアリングサービスが次々と出ていますが、 個人と個人があらゆるものをシェアしながら生きていくシェアリングエコノミーが広がり始めています。 今回は、シェアリングエコノミーが広がり始めた背景についてまとめ、シェアリングエコノミーによって社会がどう変わっていくのかについて 本書を読んで感じたことをまとめました。
なぜシェアリングエコノミー?
ひと昔前までは、モノを作らないと生活に必要なものが賄えなかったため、モノを作り、それを買って生活していました。 その中で、18世紀の産業革命で蒸気機関が発明されると、大量にモノが作れる仕組みができ、生活に必要なモノが一度に大量に作れるようになり、 人々の生活は豊かになりました。その一方で、一部の企業や国に、モノ・カネ・情報が集中するようになり、格差が広がっていきました。
しかし今では、1人1人がモノを持たなくても十分なぐらいモノで溢れています。それが今起きているモノ余りの現状です。 まず1つ目が、自動車の平均的な稼働率は数パーセントであり、自動車が余っています。次に空き家が増えており、家も余っています。 最後に家電や生活必需品などの中古品市場が大きくなっていて、フリマアプリさえあれば事足りるようになっています。
富裕層との格差が広がっている一般庶民にとっては、「シェアリングエコノミー」というのは、カースト制が導入されているインドに ITが持ち込まれた時と同じインパクトがあります。シェアリングエコノミーによって生活のコストが下がれば、浮いた支出を使って 資産を形成することができますし、必死にお金を稼がなくても幸福度は上がっていく、そんな時代に移り変わろうとしています。 皆さんも、是非シェアすることによる新しい幸せを見つけていってくださいね。
シェアによるつながりの需要
ここ30年で日本のGDPが2倍近くに増加しましたが、1人1人の生活満足度が上がっていないのが現状です。 本書によると、シェアによるつながりによって生活の満足度が上がるといいます。シェアによるつながりには2種類あって、 1つが「誰かの不要は誰かの必要である」ということ。すなわち、自分が要らないというものでも、 他の誰かが必要としてくれることで成り立つ繋がりのことです。
もう1つが「誰かの当たり前は誰かにとって価値になる」ということ。すなわち、これまでは誰かの当たり前がニッチ過ぎてサービスや商品になりませんでしたが、個人と個人がシェアし合うことで、価値を持つようになってきています。 例えば、毎日、炊事洗濯料理などの家事をしている方は、それが当たり前になってますが、普段家事をしない人にとっては、 それらのノウハウが価値になります。
シェアによるつながりは長期的に続く
Anycaという、自分が好きな車を借りられるシェアリングサービスがあります。このサービスでは、 ユーザーが好きな車種を選ぶことができますが、その車の所有者ももちろんその車種が好きなので、単なる貸し借りではなく、 趣味嗜好が合う人同士をマッチングさせているとも見れます。これがレンタカーなら、そこまでマッチングしなかったでしょう。
また、ここ10年、20年の問題として自殺数が減らない問題がありますが、これもシェアによるつながりによって、 心の居場所となる場所ができ、解決していくのではないかと思われます。 シェアリングエコノミーで明るい未来を実現できる日が、そう遠くないのかもしれないですね。
子どもは社会のものである
日本ではますます少子高齢化が進んでおり、子育てに関する政策が施行されますが、子育ての課題も多く存在しています。 本書では、「子どもは社会のものである」という前提に立って、シェアリングエコノミーの観点から子育てを見直していく方が良いと述べています。 今回は、子育ての課題とシェアリングエコノミーによる解決策を紹介します。
まず子育ての課題は、電車や公共施設で、子どもが泣いたとき、周りの目線が痛いこと。 次に保育園が満員のところが多く、仕事と子育ての両立しづらいこと。 そして保育園が満員のため、ベビーシッターを利用すると、周りから批判されやすいこと。
「子どもは社会のものである」という前提を踏まえて考えると、血縁関係に縛られない家族の在り方が解決していくのではないかと 本書では提案されています。例えば、保育園が満員だったとしても、公共施設や職場に保育スペースを設ければ、 仕事と子育てを両立したい人も要望を叶えることができますし、子どもが好きな人の雇用も生まれます。 さらにLGBTや子どもができない体質の人にとっても、子育ての機会を与えることができ、その人の幸福度も向上します。一石三鳥なのです。シェアリングエコノミーによって、できないことも工夫すればできるようになっていきます。これからは血縁関係に縛られない家族のありかたというものが広がり、それによって解決することが多いのではないでしょうか?
書籍紹介
シェアライフ 新しい社会の新しい生き方
シェアリングエコノミーの時代が到来し、「シェア」が新しい価値観として注目されています。本書は、働き方、住まい、教育、子育てなど、あらゆる生活分野でシェアを取り入れた幸せな生き方を提案します。また、シェアが地域や社会の課題解決にも寄与することを説き、信頼を基盤とした「シェアライフ」の実践方法を紹介しています。
- 初版日:2019年2月26日
- 著者:石山アンジュ
- 出版社:クロスメディア・パブリッシング
- ジャンル:情報社会