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堀江 貴文 著「糖尿病が怖いので最新情報を取材してみた」
出版:2021年5月1日
要約・所感
糖尿病は無症状で進行するサイレントキラーだと言われており、健康診断の数値上で異常が見つかった時には、既に糖尿病が進行しているという恐ろしい病気。 日本人の5人に1人が糖尿病にかかり、10人に1人は足を切断するという事実を聞いて、糖尿病のメカニズムや予防法を知りたくて、本書を手に取りました。
糖尿病のメカニズム
糖尿病(Ⅱ型)とは、体内で糖をブドウ糖に変えるインスリンの分泌異常やインスリン抵抗体により、うまくブドウ糖に変えられなくなり、 体内で「酸化」「糖化」が起こって血管が傷つき、血液を正常に送れなくなる病気です。また糖尿病は循環器系の病気なので、糖尿病になると、 毛細血管が詰まって失明・手の震え・腎臓の機能不全が起きたり、大動脈が血行不良になり足の切断・脳梗塞・心不全を引き起こしたりと死に直結します。 本書では第1章に実際にあったエピソードが漫画で掲載されており、糖尿病の怖さが想像以上だと気付かされました。
インスリンの分泌異常やインスリン抵抗体は、インスリンの分泌に負荷をかけすぎることで起きます。つまり、早食いや清涼飲料水の過剰摂取、 噛む回数の低下などによる急激な血糖値の上昇が繰り返されると糖尿病になる確率が上がるというわけです。この他にも本書では、 第2章にQ&A形式で糖尿病の基本的な知識が分かりやすくまとめてあるので、その部分だけ読んでも有意義な一冊になると思います。
糖尿病の治療と予防
インスリンの分泌が元々少ない、あるいは内臓脂肪が溜まった結果インスリンの効きが悪くなることで、体内の糖吸収及び糖生成に見合うだけのインスリンが分泌されず、 血糖値が上昇するという膵臓の病気だと知られていたが、最近の研究では糖尿病発症の源流は腸の炎症にあり、さらに腎臓も絡んでいるという。 そのため最近の治療薬には、腸での糖吸収を阻害する薬があります。祖父が糖尿病でインスリンを注射投与していたと聞いていたので、糖尿病の治療にはインスリンが重要だと思っていましたが、 腸でも糖吸収し、それが関係していることには驚きました。
しかし糖尿病において最も重要なのが、日々の食生活だという。動物性脂肪(飽和脂肪酸)は内臓脂肪蓄積のリスクを高め、魚の脂肪や植物性脂肪(多価不飽和脂肪酸)は 内臓脂肪除去の効果をもたらすことが知られており、食事においては「動物性脂肪を取りすぎないこと」「食事の順番(食物繊維から食べ、炭水化物は5分待つ)」 「適量の食事」が大切だということです。また、週30分以上の運動で、インスリン分泌を促進する効果もあります。しかし糖質が不足すると、筋肉中のグリコーゲンが使われ、 筋肉が痩せて代謝が落ちるため、注意が必要とのこと。
糖尿病にならないためにも日頃から気をつけていきたいですね。