★
ミステリと言う勿れ
2023年製作
4.8
レビュー
遺産相続をかけた謎解きゲームの裏で解き明かされる狩集家の秘密と、8年の月日を隔てた親子の絆。
狩集家の秘密が明らかになっていくシーンでは、点と点が繋がって、ミステリーの謎が解けていく爽快感を覚え、終盤の父の死の真相が明らかになったあとのシーンでは、親から子どもへの愛情を感じられて、感動しました。
また、本作の醍醐味でもある久能整のおしゃべりシーンでは、
「子どもは乾く前のコンクリートのようなもので、いろんなものを落とされて型をつけられて固くなる」
「犯罪は努力の裏側にある」
「才能がないというのは、大抵上手くなってから思うもの。自分が下手な時は才能がないなんて気づきすらしないものですから」
「女性を表した言葉は男性側の視点によるものがほとんど。(中略)女性自身が気持ちを表現してもいいのでは」
など、普段何気なくやり過ごしていることにハッとさせられるものばかりでした。
「ミステリと言う勿れ」は、ミステリーとしても面白いだけでなく、
久能整の着眼点にハッとさせられ、日々の日常で見えている景色に疑問を与えてくれる素敵な作品だと思います。
あらすじ
天然パーマの大学生・久能整は広島で女子高生・狩集汐路と出会い、狩集家の巨大な遺産相続の謎を解くバイトを持ちかけられる。遺産相続は死人が出るほどのいわくつきで、汐路の父も事故死していた。4人の相続候補者と弁護士の孫は、遺言書の謎を解き、家族の隠された真実と秘密を明らかにする。